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Little Dorrit (TV-mini) リトル・ドリット

イギリス映画 (2008)

ローレンス・ベルチャー(Laurence Belcher)が、イギリスの文豪ディケンズの名作『リトル・ドリット』を初映像化したTVミニシリーズ(全14エピソード)のエピソード1の、ほんの少しだけ顔を見せる。『リトル・ドリット』の原作は1855-57年に分冊形式で出版されたディケンズ中期の名作で、その特徴は、膨大な登場人物を灰色一色に描いたことにあるとされる。「善としての人間性にもそれなりの欠点があり、悪としての人間性にもそれなりの救いがある」という複雑な登場人物たち。主役はリトル・ドリットと呼ばれる若い女性。それに順ずる主役が、クレナム夫人の息子アーサー・クレナム。最後には2人は結婚するのだが、エピソード1では、中国から帰国したアーサーが、何年かぶりに母に会いに行った時、そこで針女として働いていたリトル・ドリットに会う段階だ。中国で一緒に企業経営し、そこで死んだ父の謎めいた遺品を持ち帰ったアーサーに、非常にすげない態度をとる母、クレナム夫人。夫人と会った明くる日に、アーサーが見る悪夢の中で、子供時代に母から言われたことを思い出すシーンがある。ローレンスの役は、夢の中の子供時代のアーサーだ。

ローレンスは、素晴らしくハンサムな青年になるが、少年時代もとても可愛い。あまり見る機会がないのが残念だ。


アーサーの夢のシーンの全訳

10歳くらいのアーサーが、母と父と同じ食卓についている。母が厳しい口調でアーサーに言う。「目を伏せて。神様に与えられた食事を感謝して食べなさい。神様が、まさにこの部屋におられることを忘れないように。神様は、お前の心に巣食う邪な考えは、すべてご存知です」(1枚目の写真)。「聞いてるの、アーサー?」と鋭い声が飛ぶ。「はい、母上」。「お前は、父親と どこも変わらないわね」(2枚目の写真)。父の顔をうかがうアーサーに、また叱咤の声が飛ぶ。「ちゃんと私の目を見なさい!」。急いで母を見るアーサー(3枚目の写真)。「お前は罪深い人間なの。お前の父がそうだったように。今もそうだけど。」「お前も、私に恥と失望を味わわせるだろう。お前の父が そうしたように」。母の顔から父へと視線を移すアーサー(4・5枚目の写真)。
  
  
  
  
  
  

夫人が述べている罪とは何か? 実は、クレナム夫人は、若い時にアーサーの父と結婚したのだが、その後で、父には愛人がいて、子供までいることが判明する。夫人は、その子供を愛人から取り上げて自分の子として育ててきた。だから、父は母に頭が上がらない。しかし、アーサーには何の罪もなく、自分が愛人の子供だったという認識も全くないのだが、意味も分からないまま、このように母親から辱めを受けてきたのだ。

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